招鬼猫物語

招鬼猫物語第41話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第41話

秀傑が、「親父、普照さんとスズが一緒だから心配するな、必ず戻ってくる」と周に別れを告げ船へと歩き出しました。

寂しそうな顔をしている周の横には万頭売りの楊おばさん、不托(ふたく)売りの公さんと奥さんの香凛が、遣唐使船を見送るために立っています。

「ジャーン、ジャーン、ジャーン」と銅鑼が鳴りました。

船長が「碇を上げろー」と大きな声で水夫長に命じています。船尾の碇が「ギシギシ」と音を立て巻き上げられ、船の中央にある二本の帆柱に竹で編んだ帆が徐々に張られていきます。

帆が全て張られると船がゆっくり動き出しました。

岸壁では大勢の人が動き出した船に手を振り、船でも日本に帰国できる留学生、学生僧達が手を振っています。

その中に秀傑の姿もあります。秀傑を見つけた周が涙を流しながら大きく手を振っています。

楊おばさんも秀傑を見つけましたがスズの姿を見つけることができず、一生懸命スズを探しています。すると公さんが「あそこにスズがいる」と空に向かって指を指しました。

そこには中央帆柱の頂上で、船の進む方向を見ているスズの姿がありました。


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