社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第38話
それから数か月後、明州の港近くの市場ではいつものように万頭売りの楊おばさんが、「美味しい万頭だよ、美味しい万頭はいらんかね~」と道行く人に声を掛けています。
そこに荷車が止まり、「スズを連れてきましたよ」と周が楊おばさんに声を掛けました。
楊おばさんが荷台の上を見ると、スズが「ニャー」と鳴き、尻尾を振っています。
「スズ、元気だったかい」と言いながら荷台に手を差し伸べ抱き上げました。スズは頭を撫でられる度に、嬉しくて喉をゴロゴロ鳴らせています。
「今日はどうしたんですか」と楊おばさんが周に尋ねます。
周は「今度の遣唐使船で日本に渡る、息子の秀傑とスズを見送りに来ました」と答えてから、「秀傑、楊さんにご挨拶をしなさい」と言いました。
すると、荷台の後ろから秀傑が現れ頭を下げています。
「ジャーン」と港で銅鑼が鳴っています。
楊おばさんは慌てて、「気を付けていくんだよ、スズの事も頼むよ」と万頭が包まれた包みを二つ秀傑に渡しました。
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