招鬼猫物語

招鬼猫物語第10話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第10話

普照の目が薄っすらと開き、ぼんやりと上を見上げています。そこには栄叡とスズの顔、そして倒れたはずの毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)の立っている姿がありました。

そこに激しい波を受けてできた板壁の隙間から朝日が差し込み、毘盧遮那仏が後光を出しているかのように部屋を照らしはじめます。その光景に部屋にいる全ての者たちが安堵の表情を浮かべ、毘盧遮那仏に手を合わせています。

弟子たちが鑑真の手を取り立ち上がり、部屋の扉を開け甲板へ出て行くと、普照も栄叡の手を借り立ち上がりそれにつづきます。部屋を出ると数時間前まで荒れ狂っていた海が、嘘のように雲一つない青い空の下で静かに朝日を浴び光り輝いています。

スズは王船長を探すため甲板をキョロキョロと見てまわりますが、見つけることができません。

それを見ていた水夫がスズを抱き上げ「船長は海に流された若いお坊さんを助けようとしたところ、大波が襲い一緒に海の中に流されてしまった………」と教えてくれました。

水夫の大粒の涙がスズの額にポつと落ち、スズの大きな目にも涙が溢れてきました。

「大変だ!水甕が全部割れているぞ」と大きな声が船倉から聞こえてきます。


第1話~第9話はアーカイブ、カレンダーから検索してお読みできます。

招鬼猫物語

招鬼猫物語第9話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第9話

その時、遣唐大使の部屋の扉を破り海水が流れ込んできました。栄叡が「危ない」と言いながら咄嗟に鑑真に覆いかぶさります。

毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)像が倒れ、ロウソクの灯が消えます。海水が次々と部屋に流れこみ、壁に大きく叩きつけられた弟子たちのうめき声が暗闇に響きます。

下がっていた船首が今度は上がりはじめ、流れ込んでいた海水が部屋の全てのものを運びだそうと扉から流れ出します。荷物と一緒に弟子の一人が部屋の外へ流されていきます。

栄叡は鑑真を抱え柱にしがみつきながら必死に普照の姿を探していますが、暗闇と波の轟音のため見つけることができません。

普照は海水が部屋に流れ込み毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)像が倒れ時に、流されようとしていたスズを咄嗟に僧衣の中に抱え入れていました。

しかし次の瞬間、普照は海水に足元をすくわれ壁に頭を打ち意識をなくしていたのでした。

しばらくして嵐は過ぎ去りました。「チリン、チリン」とスズが首に付けている鈴の音が聞こえるほど静寂が戻り、夜が明けはじめ部屋の中が薄っすらと明るくなっています。

スズは床に倒れている普照の顔を栄叡と一緒に心配そうにのぞき込んでいます。


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招鬼猫物語

招鬼猫物語第8話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第8話

ピカッと稲妻が走り、一瞬空が明るくなりました。そこには水平線から幾十にも重り、船に向かってくる雲が見えました。

王船長が「これは…….まずいぞ」と誰にも聞こえないほどの声で言ってます。足元でその声を聞いていたスズの額にポつん、ポつんと空から大粒の雨が落ちてきました。

その空にまたピカッと稲妻が走り、今度は大きな雷鳴が轟きます。スズはビックリして、一瞬固まって身動きができませんでしたが、慌てて遣唐大使の部屋に逃げこみました。

部屋の中では隙間から入る風で、今にも消えそうにロウソクが揺らめき、一番奥の客座に置かれた毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)像に向かい鑑真と弟子たちがお経を唱えてます。

しばらくするとお経を唱える声より雷鳴、雨音、波音が強くなり、部屋に置かれていた荷物が前後左右に転がり始めました。弟子たちは毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)像が倒れないよう必死に押さえ、栄叡と普照は鑑真と共に天候の回復を願いお経を唱え続けてます。

しかし、船には次々と大きな波が襲い続け、上下左右へ大きく傾き、今にも海のもくずとなりそうです。

すると船倉からガチャン、ガチャンと何かが割れる音が響きはじめました。


第1話~第7話はアーカイブ、カレンダーから検索してお読みできます。

招鬼猫物語

招鬼猫物語第7話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第7話

スズは「しまった、奴らだ」という顔で辺りをキョロキョロと見渡しましたが、そこには暗闇と船に当たる波の音だけが広がり、奴らの姿はどこにもありません。

しばらく辺りを警戒して見ていましたが、諦めて汚れていた顔を足と舌を使い綺麗にして少し休むことにしました。

時がどのくらい経ったでしょうか。船に当たる波の音が大きくなり、船倉に積まれている木箱がギシギシときしむ音をだすようになってきました。

丸くなって寝ていたスズが大きな耳をピンと立て辺りの気配をうかがうと、甲板から「帆を早く降ろせ」、「荷物が流れないよう縄で縛れ」と王船長の声がかすかに聞こえてきます。

しばらくすると船倉がロウソクの灯りで明るくなり、雑人達が縄で水甕、木箱を柱に縛り始めました。

スズはいつもと違う気配を感じ、大急ぎで甲板へ上がる階段を駆け上がります。数時間前までは綺麗な夕日、無数の星が見えていた空が真っ黒く重たい空になり、湿った風が吹きつけ波が高くなっています。船長が大きな声で水夫達に降ろした大きな帆を縄で船に固定するよう命じています。

遣唐大使の部屋から出てきた栄叡と普照がその様子を心配そうに見ています。


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