招鬼猫物語

招鬼猫物語第26話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第26話

その頃、勅令を破り投獄された鑑真一行と栄叡、普照は、冷たい石畳みに敷かれた湿った藁の上に座っていました。

投獄されている牢獄の天井近くには明かり窓があり、僅かに月の光が入り、各々の顔を青白く浮かび上がらせています。

鑑真は目を閉じ、微動だにせずお経を黙読しているようです。

夜が更けるにつれ皆の吐く息は白く、手を揉む音、手に息を吹きかける音が多くなってきました。

寒さに我慢できなくなった栄叡が「鑑真さまを中心に体を寄せ合い、暖をとろう」と小さな声で皆々に言います。

鑑真の周りを弟子、栄叡、普照たちが取り囲み、体を密着させ、各々がお経を唱え始めます。

しばらくすると黙読していた声が牢獄の外に響き渡るほどになっています。

牢番二人がお経を唱えるのを止めさようとやって来ました。そこには暗闇に青白く浮き上がり、湯気が立ち昇る鑑真達の姿がありました。

牢番が「おい、お経を止めろ」と持っていた棒で弟子たちを突きながら注意しました。突かれた弟子たちは少し呻きながらもお経を唱え続けています。

唱える事を止めない鑑真達に、業を煮やした牢番の一人が「あれを持ってくるか」と言って牢番の詰め所に戻って行きました。


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