社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第5話
遣唐大使の部屋の隣には賄いを作る賄い部屋があります。部屋の中では雑人達が乗員の夕食を作っている最中です。スズは鶏を捌き終えた調理台の下で腰を落とし、大きな目で野菜と鶏肉を炒めている雑人をジーッと見つめ上げ待つことにしました。
しばらくして雑人が気づき、「どうしたスズ、鶏肉が食べたいのか?」と問いかけます。スズは「うん。たべたい!」と返事するかのように「にゃん」と鳴きました。
「スズには夜の大事な仕事を頑張ってもらわないといけないからな」と雑人が言いながら、調理台にあった鶏肉をスズの前に置いてくれました。スズは嬉しそうに尻尾をユラユラと揺らせ、鶏肉を食べることにしました。
それを見ていた違う雑人が「スズに鶏肉を食べさせたら船長に怒られるぞ」と鶏肉を置いた雑人に注意します。やり取りを聞いていたスズは食べていた鶏肉を床に置いて、雑人達に気づかれないようそっと賄い部屋から出ていく事にしました。
船が進む東の方角はすっかり暗くなり、無数の星が見えるようになってきました。甲板にある三つ目の部屋には既にロウソクの明かりが灯り、人々が愉快に話す声がします。スズはその部屋を通り過ぎ船倉に下りる階段の前まで来ました。
