社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第2話
王船長が「碇を上げろー」と大きな声で水夫長に命じました。水夫達が船尾に走ります。スズの乗っている船には船尾に碇巻き上げ機が備え付けられています。
「ソーレ ソーレ」と水夫達が息を合わせ巻き上げ機を廻すと、人の腕の太さもある綱が「グル ギシッ グル ギシッ」と碇を巻き上げていきます。
水夫長はそれを見て「帆を張れー」と別の水夫達に命じました。水夫達が船の中央にある二本の帆柱に集まり、帆柱に巻かれていた綱を解きます。
「ソーレ ソーレ」とこちらでも水夫達が息を合わせ、帆柱の上部から垂れている綱を引き、竹で編んだ帆を上げていきます。船尾では人丈の倍もある碇が甲板に上がってきました。
船長が「出航 舵を取れ」と舵取りに命じました。船がゆっくり動き出します。
岸壁では大勢の人が動き出した船に手を振っています。「スズ、無事に帰っておいでよ」と万頭を売っている楊おばさんも手を振っています。スズは帆が張られた帆柱の上からそれに応えるように尻尾を振っています。甲板では日本に帰国できる留学生、学生僧達が安堵の表情で手を振っています。徐々に明州の港町が小さくなり波が船にぶつかる音、帆に風が当たる音が強くなってきました。

