社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第46話
第一船の水補給が終わったのは第二船が出港した日のお昼頃でした。
急に厚く黒い雲が入江の上空に流れてきて辺り一面を覆うと、今度は風が吹き始め、穏やかな入り江に白波が立ち始めました。
「嵐がくるぞ、早く筏を船に上げろ」と船長が雑役達に向かって言っています。甲板では水夫達が右往左往と走り回り、縄であらゆる物を固定し始めました。
その頃、阿倍仲麻呂が乗った第二船は暴風雨の真っ只中でした。
船には次々と大きな波が襲い続け、上下左右へ大きく傾き、今にも海のもくずとなりそうです。
突然、真っ暗な空が光り、大きな衝撃音がすると、帆柱が根本から折れ荒波の中に飲まれてしまいました。
昨日まで荒れ狂っていた入江が嘘のように穏やかになり、朝日が入江に停泊している第一船を照らしています。
甲板に太陽に向かい手を合わせ、第二船の無事を祈る普照の姿があります。
「碇を上げろ、帆を張れ」と船長の声が響き渡りました。帆柱に竹で編んだ帆が引き上げられると、エメラルドグリーンの海に浮かんだ船がゆっくりと動き始めました。
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