招鬼猫物語

招鬼猫物語第12話

社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。

第12話

船倉から鑑真の弟子たちが、濡れた布に包まれたいくつもの木箱を持って、甲板に上がって来ました。その箱の一つは、スズがこの航海中に大事な仕事を任された場所に置かれていた箱です。

鑑真が見守るなか、普照が濡れている布を解き、栄叡が木箱を開けます。

弟子の一人が中を見て「あー、やはり濡れてしまっている」とつぶやきました。鑑真が「乾かせば大丈夫、。乾かしましょう」と木箱から出して乾かすよう弟子たちに促しました。

木箱の中には60巻に及ぶ経典「四分律(しぶんりつ)」が入っており、四分律には仏僧が日常生活で守らなければならない戒律(男性僧は250の戒律、尼僧は348の戒律)が書かれています。

鑑真はこの四分律を日本の僧に伝え、僧となるための受戒制度を設けることを考えていました

弟子たちが木箱から経典を一巻きずつ取り出し、丁寧に広げ、太陽の光と風で濡れていた経典を乾かしていきます。

全ての経典を乾かし終え、木箱に納め、船倉へ戻すと、もう陽が沈む頃になっていました。

それを見ていたスズが暗くなった船倉にゆっくりと下りて行きます。


第1話~第11話はアーカイブ、カレンダーから検索してお読みできます。