社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第11話
スズを抱いていた水夫がスズを床に降ろして急いで船倉へ向かうと、船倉は粉々に割れた水甕の破片で足の踏み場もない状態になっていました。
水甕には最初の経由地に着くまでの飲み水が入っていましたが、全て海へ流れてしまったようです。
後から来た水夫長がその光景を見て、「日本に向かうのは無理だ、明州に戻るしかないな」と言っています。
水夫が「今、どこにいるのでしょうか?」と水夫長に尋ねると、「まだ、出港して一日しか経ってないから、陸からはそんなに離れていないだろう」と答えました。
水夫長が遣唐大使の部屋に向かい栄叡と普照に「船長が海に流され、飲み水が無くなってしまっては明州に戻るしかない」と伝えました。
それを聞いた栄叡は天を仰ぎ、普照は床に膝を付いたまま動くことができません。鑑真が二人に近づき「これも仏様の思し召し、明州に戻りもう一度準備しますぞ」と声を掛けます。
部屋の外で水夫長が水夫、舵取り達に「明州に戻るぞ、船を西に向けろ」と命じています。帆柱に帆が上がり、しばらくすると船がゆっくりと西に向き動き始めました。
その帆柱の上でスズが海面をいつまでも見ています。
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