社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第33話
陽が差しこむ阿育王寺の本堂に、色鮮やかに浮かび上がった胎蔵界曼荼羅を見つめている秀傑とスズの姿があります。
曼荼羅は大日如来を中心に仏、菩薩を配置して、仏教を見える形で教えている絵図です。
秀傑は曼荼羅の下側、北門(死者の門)に描かれている聖獣キルティムカを瓦で作りたいと考え、暇があればスズを連れて見に来ていました。
「秀傑さん、秀傑さん」と工房で働いている瓦工の子供が呼んでいます。外に出ていくと、「親方が早く工房に戻るように」と伝えてきました。
スズを抱いて工房に戻った秀傑は、親方で父親でもある周のいる部屋に向かいます。そこには周と普照が、椅子に座りお茶を飲んでいるところでした。
普照は部屋に入ってきた若者が抱いている猫を見て、驚いています。
「息子の秀傑です」と周が紹介します。
普照は立ち上がり、秀傑に挨拶する間もなく抱いている猫の顔をのぞき込み、「スズじゃないか」と顔をほころばせています。
スズは怪訝な顔をした秀傑の腕の中で「ニャー、ニャー」と鳴き、「ゴロゴロ」と喉を鳴らし、普照に抱いて欲しいかのように体を動かしています。
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