社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第17話
人々の顔が分かるほど船は岸壁に近づいてきました。
「綱を渡せ」と水夫長が水夫達に命じます。船首、船尾から岸壁に向けて紐が結ばれた矢が放たれました。
それを港で働く荷夫達が拾い、結ばれている紐を手繰り寄せ綱を引き始めます。「そーれ、そーれ」の荷夫達の掛け声と共に船がゆっくり、ゆっくりと岸壁に近づいてきます。
「碇を下ろせ」と水夫長が水夫に命じます。水夫が船尾にある碇巻き上げ機の歯止めを外すと、碇が大きな音を上げ海中へ沈んでいき船が止まりました。
鑑真が「無事に戻れましたな、もう一度日本へ行く準備をしますぞ」と栄叡、普照に言います。「はい、お寺に戻り準備しましょう」と栄叡が答えます。
船に橋桁が渡され下船の準備が整った岸壁は、高僧の鑑真を一目見たい人々が集まっています。
その中、官服を着た刑部司門の役人達が現れ船への出入りを禁止してしまいました。一人の役人が船に渡り、鑑真一行に「律を破った罪で牢獄に連れていく、おとなしく下船しろ」と伝えました。
それを聞いた普照は、お寺に連れていくつもりで抱いていたスズを床に下ろすことにしました。
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