社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第34話
「8年前、鑑真様を日本にお連れしようとした船の中で一緒だったんだよ」と普照が言います。それを聞き秀傑は抱いていたスズを渡しました。
スズは嬉しそうに大きな目で普照を見上げ、普照は小さな子供をあやすかのように背中を優しく撫でながら、この8年の苦難を思い出しています。
「秀傑、普照様は日本で瓦作りを教える人を捜しているそうだ、日本に行く気はあるか」と周が息子の秀傑に話しかけました。
思いがけない父の言葉に驚きながらも、自分が日本で瓦を教える役目を貰えたことに嬉しさを感じ、「行きます。いつ出発するんですか」と返事をしました。
周が寂しそうな目で普照の顔を見ました。
普照がスズを床に下ろし、真剣な顔で「11月に出発することになっている。本当に我々と一緒に日本に行ってくれるのか、2度と戻って来れないかもしれないぞ」と秀傑に問い返しました。
秀傑はハッと気づき、寂しそうな目をしている父親の周を見ます。周は心配するな、行ってきなさいというように頷いています。
しばらくの間、父を見つめてから「日本に行く覚悟ができました」と普照に答えました。
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