社長が毎週月曜日に投稿している招鬼猫を題材にした物語です。
第14話
ネズミがすきを見て逃げようとしました。スズは素早く前足で捕まえ、しばらくもてあそんでから口にくわえて、再び普照の足元に持ってきました。
それを見た普照がスズを抱き上げます。するとネズミがそのすきに板壁に空いた穴から逃げていってしまいました。
スズが「どうして逃がすんだ、大事な仕事をしたじゃないか、王船長なら褒めてくれるのに」と大きな目で訴えています。
スズは大事な荷物をネズミから守るために王船長に飼われていました。そしてこの航海では日本に運ぶ経典をネズミから守るよう王船長に命じられていたのです。
ネズミを逃がした普照が「ネズミを捕まえてくれてありがとう」と言います。スズは「何がありがとうだ、逃げたじゃないか」という顔をしました。
普照が「そんなに睨むな、与えられた仕事は経典を守ることだろ」と問いかけます。そして「もう日本に行かないんだ、余分な殺生はするな」と言いました。
それを見ていた鑑真と弟子たちがお経を唱え始めました。ロウソクの灯りが揺らめき毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)を照らしています。そのお顔は優しく穏やかで、慈悲深くスズを見ています。
すると普照を睨んでいたスズの目が、いつもの大きく可愛い目となっていきました。
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